2008年08月30日

今年の夏の思い出 2

 最近の子連れの家族が行くところといえば、大型スーパーなのかなと思うくらい、スーパーの週末の人の混雑に驚かされる。  
 幼い頃、家族揃っていくといえば海だったなぁと最近思い出す。砂浜、干潟、海、遊ぶ場所がたっぷりあって、時間を忘れて泳いだこと、家族で食べたお弁当のこと、夕食のメインディッシュの貝を取っていたあの頃が懐かしい。
 あの貝凄くおいしかったのに、いつの間にか貝はスーパーで買うものになってしまった。私が子どもの頃はイチャンダ(無料)のビーチもあちらこちらにあったのに、今では、お金を払ってビーチで泳ぐ(私は水浴びに近いですね)ことが増えている。実は沖縄人(ウチナーンチュ)は海から遠ざかっている・遠ざけられているんじゃない?と最近思う。もっと海にいかなきゃ!

 この夏、私の印象に残る出来事、それは泡瀬干潟を守る連絡会の沖縄市の泡瀬干潟工事に反対して行った座り込みだ。
 泡瀬干潟を毎日眺めながら私は通勤していて、仕事の疲れ、少し考え事をしたい時、泡瀬の海が見せるいろんな景色に癒されてきた。幼い頃まさにこの海で過ごした家族との思い出、それはずっとずっとありがとうって思っていた。それがいつの間にか埋め立てられること、新聞紙上で読んでいて分かっていたし、干潟の工事入口に大型トラックがひっきりなしに、土砂を運び入れる光景も知っていた。悲しいな、どうしてこうなるんだろうと思っても、私には手の届かない場所、そう思っていた。

 8月初旬、いきなり、工事入口にテントが立ち、そこに座り込む方々の風景が目に入ってきた。新聞に目をやると、工事を差し止めしたいと身体を張って座り込んでいるとのこと。あ~凄いな、いつまで続くのかなとちょっと遠巻きに見ていたのですが、来る日も来る日も、太陽がさんさんと照り続ける中、座り込む連絡会の方々だった。時に工事の方々に詰め寄られている場面、行政関係者と思しき集団に書面を突きつけられているシーンが、車を走らせながらも目に入ってきて胸が痛んだ。

 何ができるだろうなと思いながらも、仕事の帰りにテントに寄って、少しお話してみたいなと思うようになり、ちょっと(?)勇気を出して寄ってみた。何を思って座っているのかな、いつまで座るのかな、泡瀬干潟がこれからどうなるのか、ちょっと失礼かなと思いながらも聞いてみた。
 泡瀬干潟を守る連絡会は、この工事が始まる以前から、干潟の保全に取り組み、住民運動を展開している。バブル時代に計画された開発のあり方にもの申すために、埋め立てを反対し、干潟の調査、干潟の別の形の保全を通した開発のあり方等々、自然観察会、政策提言、イベントや写真展を継続して展開している。しかし、国や県が決めた事、そこに「NO」と言えない沖縄市政に対して憤りを感じていた。数多くの生物の繁殖期を無視する強行的な開発(工事)にたいして、そこを愛する人間として、生き埋めになる生物と同じように身体に痛みを抱える覚悟で座りこみ反対したいということであった。
 言葉にすることが難しいのですが、座り込みの中心になっている方々のお話、沖縄口(うちなーぐち)を交えて、面白おかしくでも真剣に語ってくださったこと、私は忘れない。


 環境保全、この言葉は今や、市民だけではなく、行政・企業も同様に使用している。この泡瀬干潟を埋め立てている業者さんも、同様に環境保全を訴え、干潟のよりよい環境づくりの開発を行っているようだ。環境保全とはいったいなんなのか、
「泡瀬干潟は、沖縄島中部の中城湾に位置する約265haの干潟であり、まとまった規模のものとしては良好な状態で残されている。干潟の底質は泥質から砂質、サンゴ礫質と多様で、クビレミドロ、ホソエガサなど数種の海草(うみくさ)からなる沖縄最大の353haに及ぶ藻場も広がる外、サンゴ礁も見られ、多様で繊細な生息域を形成している。(日弁連、泡瀬干潟埋立事業に関する意見書より)」

2008年の今年は国際さんご礁年であるはずで
観光立県沖縄はさんご礁が大切な資源であるはずなのに
何故わざわざ干潟のさんごを埋め立てるのか
ほんとに分からない。
開発とはいったい、何なのか。

今年の夏の思い出 2今年の夏の思い出 2 8月25日に座り込みが解除になりました。最後の解散式、印象的な夜でした。平穏な中にも、干潟を守りたい、生物を守りたい、開発のあり方を考えようよってメッセージが一人ひとりから語られました。立ち入り禁止工事現場の向こう側でじーっと監視している国、沖縄県の職員、道路の向こう側で不安そうに見つめる、沖縄市職員。異様な光景でしたけど、優しい時間だったなと思う。

仕事の帰りに何回か立ち寄り
一緒に座り込んだこと
友人たちと一緒に干潟観察会をしたこと
少しの行動でしたが、一歩踏み出してよかった。
きっとこの海が埋め立てられて悲しいと思っている人はいるはず。
もしかすると、埋め立てている側の方にも同じ気持ちの方もいるはず。

開発って何なのか、国を始めとする大きな社会の構造の中で私は何が出来るのか
まだまだ分からないけど、考えをやめることはやめよう。
座り込みが終わったこの頃、夏の終わりを感じる。
でもまだまだ暑い沖縄より
   

(たまな)


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Posted by ONC at 15:14│Comments(0)その他
 
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